💡この記事ではこんなことを書いています:
・「女性管理職を増やそう」という掛け声に、元女性管理職の私が感じている違和感
・データで見る、女性(そして実は男性も)の管理職志向の低さ
・プレイングマネージャーとして管理職を経験した私が感じた「面倒くささ」の正体
・「上を目指さない」という生き方も、自由な選択肢として認められていいのでは、という考え
こんにちは、yushiです。
関東在住の40代前半、子なし共働き夫婦。3年後のセミリタイア(サイドFIRE・バリスタFIRE)を目指している、元バリキャリ会社員です。
「女性管理職を増やそう」という言葉を、ここ数年よく聞くようになりました。実際、日本では女性管理職の割合が低いことが長年課題とされていて、企業でも女性登用を進める取り組みが行われています。
でも私は、この話を聞くたびにずっと引っかかっていることがあります。
そもそも女性って、そんなに管理職になりたいと思ってるんでしょうか。
こんなことを書くと「女性の可能性を否定している!」と怒られるかもしれませんが、私は女性管理職を経験した側ですし、女性が仕事で活躍することに反対しているわけでもありません。能力があって、本人がやりたいのであれば、男性でも女性でもどんどん上を目指せばいいと思っています。
ただ、そこそこ長くIT業界で働いてきて、私が実際に見てきた景色と「もっと女性管理職を増やそう」という世の中の掛け声には、どうにも少しズレがあるように感じるのです。
今回はそんな話を書きたいと思います。
女性が管理職になりたい割合は、実際かなり低い
まず、これは私の周りだけの話なのかと思って調べてみました。
労働政策研究・研修機構(JILPT)が2025年に公表した調査では、非管理職の正社員のうち「管理職になりたい」と答えた人は全体で18.3%。男性では29.4%だったのに対して、女性はわずか9.6%でした。女性の9割以上は「ポジションにこだわらず働き続けたい」と答えています。
もちろん調査によって数字には差がありますし、「管理職になりたい」と積極的に答えないことと、仕事への意欲が低いことは同じではありません。それでも「女性管理職を増やす必要がある」と言われている一方で、当の女性たちの管理職志向が高くないというのは、少なくとも無視できない事実だと思います。
私の周りでも、上を目指していた女性はほとんどいなかった
私はIT系の中でも割と専門的な領域で働いていたので、そもそも女性の人数が少ない環境でした。それでも女性社員はいましたが、いわゆる事務方の仕事をしている人が多く、営業を「やりたくてやっています」という女性にはほとんど会ったことがありません。
私自身は営業職でしたが、同じ会社で営業職から管理職まで上がった女性は、少なくとも私がいた当時は私だけでした。規模の大きなグループ会社を見ると女性営業もそれなりに入社してきていましたが、途中で「やっぱりしんどい」と辞めていく人も多くて、その一方で事務系の女性は比較的長く残っていました。
これは会社が女性を事務職に押し込んでいた、という単純な話でもないと思っています。ただ、会社側にも女性側にも「女性は事務職」という感覚が、良くも悪くもまだ残っているように感じます。
そしてこれまで働いてきた中で、「この人、本当に仕事が好きなんだな」「もっと成長したいんだな」と私が感じた女性は、思い返しても二人くらいしかいません。その二人は仕事そのものにやりがいを感じ、人とのコミュニケーションが好きで競争心もあり、まさに向上心の塊のような人たちでした。私は二人ともすごくかっこいいと思ってました。
そのうちの一人はパートナー企業の女性だったのですが、私が会社を辞めることを伝えたとき、ものすごく泣かれました。
「yushiさんは、私と一緒にもっと上に登っていくと思っていた。」
「寂しい。立ち直れない」
そんなことを言いながら、わーわー泣かれました。笑
ありがたい限りです。
あのとき改めて、自分は周りから「これからも上に登っていく人」に見えていたんだなと思いました。でも実際の私は、そこから降りることを選びました。
私自身、管理職になりたくてなったわけではなかった
では私は、若い頃から管理職になりたかったのかというと全然そんなことはありません。
noteの自伝にも書いてきましたが、私はある時期かなり脅迫的に仕事をしていました。負けたくない、認められたい、ちゃんと価値のある人間だと思われたい。そんな気持ちで働き続けていたら結果が出て、気がついたらなし崩し的に管理職になっていたという感じです。
💡その頃の働き方については、こちらに詳しく書いています↓
もちろん役職がついたときには、「努力が実ったな」という喜びもありました。でも私が本当にうれしかったのは肩書きそのものではなく、「この仕事はあなたにお願いしたい」「あなたに頼めばうまく回ると思った」と、社内外から指名で仕事をもらえたときでした。
極端に言えば、課長だろうが平社員だろうが、そこはそれほど重要ではなかったのだと思います。
給料が安いから管理職をやりたくなかったわけでもない
「管理職は給料が大して増えないのに、責任だけ増えるから割に合わない」という話もよく聞きます。
ただ、私の場合はここも少し違います。当時の年収は800~900万円ほどで、少なくとも「給料が安すぎた」とは思っていません。国税庁の2024年分の調査では女性給与所得者の平均給与は333万円なので、女性会社員の中ではかなり高い水準だったと思います。
それでも、やっぱりしんどかった。
プレイングマネージャーだったので、自分自身が持っている営業の仕事だけでもかなりの量がありました。管理職になったからといってプレイヤーとしての仕事が大幅に減るわけでもなく、そこに部下のマネジメントや評価、関係部署との調整が上乗せされます。
しかも営業の場合、自分の部署だけを見ていればいいわけではありません。案件に関わるさまざまな人と調整し、ときには自分の部下ではない人たちの仕事まで実質的に管理する必要がありました。休日や夜間にトラブルがあれば連絡は来る。部下は好きなことを言うし、上司も好きなことを言う。でもどちらか一方にだけいい顔をするわけにもいかないし、自分自身はまた別の意見を持っていたりする。
結局のところ、中間管理職ってめっちゃ面倒くさいんですよね。
特に私の場合、一番つらかったのは責任そのものより時間でした。自分の仕事ですでに手いっぱいなのに、そこへ管理業務が足される。それなのにプレイヤーとしての仕事は減らない。単純に使える時間が足りなくなっていきました。
💡管理職を降りる決断をした経緯はこちらに書いています↓
「女性管理職を増やす」に私が感じる違和感
だからこそ、私は「女性管理職を増やしましょう」という施策に少し違和感があります。
内閣府は2030年に向けて、民間企業の女性比率を係長33%、課長24%、部長15%とする成果目標を掲げています。2025年時点では、従業員100人以上の企業で女性比率は係長級25.2%、課長級16.1%、部長級9.3%です。
女性が能力を持っていて、本人も管理職になりたいのであれば、機会を与えられるべきです。育児をしながらでも働きたい人がいるなら、保育園や柔軟な勤務制度を整えるとか、お金やサービスで解決できる部分を支援したりして「やりたい人がやれる環境」を作ることには大賛成です。
でも「女性管理職を○%にしなければならない」という数字が先に来ると、どうしてもモヤモヤします。
私は自分が管理職になったことにはプライドを持っていましたし、少なくとも周囲の男性たちより実績を出したから役職がついたのだと今でも思っています。でも世の中に「女性管理職を増やそう」という流れがあると、ひねくれものの私は「もしかしたら私も女性だから押し上げてもらったのかな~」と考えてしまうこともありました。
もし本当にそうだったとしたら、悲しい。
実績を評価されて上がったのではなく「女性管理職を一人増やしたいから」という理由だったとしたら、それは私が望んでいた評価ではありません。「女性枠」というものがあることで、むしろ実力で上がった女性まで「女性だからでしょ」と見られたり、自分自身ですらそう疑ったりしてしまう。私はそこに、女性を応援する制度の少し皮肉な部分を感じます。
子育て女性だけの話でもないと思う
私がこれまで一緒に働いた子育て中の女性たちは、仕事を適当にやっていたわけではありません。限られた時間の中で、任された仕事をきちんと終わらせようとしていました。
ただ、「もっと新しいことをやります」「どんどん仕事を増やします」「もっと上に行きたいです」というよりは、仕事はちゃんとやるけれど責任までは増やしたくない、今の生活とのバランスを保ちながら働きたい、というように私には見えていました。
そしてこれは子育て中の女性だけでもありませんでした。独身女性や子どものいない女性でも、仕事を人生の中心に置いて、どんどん上を目指したいという人は、それほど多くなかった印象があります。
家事や育児の負担が女性に偏っていることは、日本社会の課題としてよく指摘されています。ただ私は個人的には家事が結構好きですし、「女性の方が家事や子育てのようなことを好む人が多いのでは」と感じることは多々あります。それが生まれ持った性差なのか、長い歴史や社会環境の中で作られたものなのかは私には分かりませんが。
ただ少なくとも「女性ももっと社会に出て、男性と同じようにガリガリ働いて昇進したいはずだ」と当然の前提にされることにも、私は少し違和感があります。
…と思ったら、そもそも男性も管理職になりたくなかった
ここまで「女性は本当に管理職になりたいのか」と書いてきましたが、ちょっとまた面白いデータがありました。
Adecco Group Japanが2026年に一般社員800人を対象に行った調査では、76.7%が「将来、管理職になりたくない」と回答しています。さらに71.7%が「管理職は得より損が多い、または損しかない」と考えていました。管理職になりたくない理由の上位は、「ストレスが大きそう」「責任が増えそう」「勤務時間が長くなりそう」です。
まぁ結局、管理職になりたくないのは女性だけの話じゃないってことです。
女性の方が管理職志向が低いのは確かですが、そもそも今の会社員にとって「管理職になる」ということ自体が魅力的なゴールではない。むしろ罰ゲームなわけですね。
だったら女性管理職を増やすことだけを考えるより、男女問わず「やってみたい」と思える管理職の仕事にする方が先なのでは、とも思います。プレイヤーの仕事を抱えたままマネジメントまで全部やらせる、夜や休日でも責任を負わせる、上と下の板挟みにする。それで「最近の若い人は管理職になりたがらない」と言われても、まあそうでしょうね、としか言いようがありません。
「上を目指さない」という選択も、女性の自由なのでは
少し前に『ハウスワイフ2.0』という本を読みました。
アメリカの高学歴女性の中に、せっかく手に入れた投資銀行や広告代理店、官庁などのキャリアからあえて離れ、家族との時間や手作りの暮らし、自分のペースでできる仕事を選ぶ人たちがいる、という内容の本です。企業社会から選択的に離れ、田舎で暮らしたり、料理や手仕事を楽しんだり、ブログやSNSを使って小さく仕事をしたりする女性たちが描かれています。
かなり極端な例も出てきますし、アメリカの本なので、そのまま日本に当てはめられるとは思いません。それでも私は読んでいて、「一度バリバリとキャリアを積んだ女性が、最終的に家庭や自分の暮らしの方へ戻っていく」という現象そのものが面白いなぁと思いました。
私自身もかつては必死に働いていましたが、今は夫とつつましく暮らし、家のことをやったり、畑で野菜を作ったり、本を読んだり、ブログを書いたりしながら、割と負荷の少ない仕事をする生活です。このまま数年後にはセミリタイアをして、もっと「生活」の比重を上げたいと思っています。
💡セミリタイアを考えるようになった経緯はこちらに書いています↓
根本的には、「女性は管理職になるべき」とか「女性は家庭に入るべき」とか、どちらかに決める必要なんてないのでしょう。
管理職になりたい女性はなればいいし、子育てをしながらバリバリ働きたい女性にはそれができる環境があればいい。仕事はほどほどにして家庭を大事にしたい人も、それでいい。もちろん男性だって同じです。
男性だから、女性だからではなく、好きなように生きればいいだけですね。
こんなこと言うと、日本の為にならんとか怒られそうなもんですが。
女性活躍という言葉が、本当に女性の選択肢を増やすためのものなら私は賛成です。でも「女性ももっと上を目指しましょう」という新しい価値観を押しつけられてるような、息苦しさをすごく感じてしまいます。私が卑屈なだけなのかもしれませんが、なんかこれはちょっと違うんじゃないかなぁ…。
一度上まで登ってみて、自分から降りた私は、そんなことを思っています。
今回紹介した本:『ハウスワイフ2.0』
「せっかく手に入れたキャリアを捨てて、なぜ家庭や自分の暮らしへ戻る女性がいるのか」というテーマに興味がある方には、なかなか面白い本です。賛否の分かれそうな内容ではありますが、キャリアを伸ばし続けることだけが本当に幸せなのかを考えるきっかけにはなりました。
※本記事で参照した主な資料:
労働政策研究・研修機構「働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査」(2025年)、内閣府男女共同参画局、Adecco Group Japan「管理職という仕事に関する調査」(2026年)、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」






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